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プロジェクトストーリー

伝統と革新を織り込んだ老舗としての「顔」をつくる  吉徳本社ビル

伝統と革新を織り込んだ老舗としての「顔」をつくる
創業正徳元年(1711年)。「人形は顔がいのち」のフレーズでも知られる、創業三百年をこえる江戸最古の老舗人形店の本社・本店の建て替えプロジェクトである。人形問屋街である浅草橋にあって空襲により社屋を焼失する等、幾多の変遷を経るも創業当時から現在に至るまで同地にて一歩も動くことなく歴史を刻んでいる。
今回の新本社ビルに求められたものは、脈々と続く老舗としての伝統と、時代の流れを拓く革新との融合であった。
外観について、低層部は旧社屋の雰囲気を残しつつ道行く人々がふと足を止め、自然と人形の世界に引き込まれるよう明るく大きなショーウィンドーとして計画した。また上層部については「鎧張り」、菱型断面の「連子格子」、刀や弓に見られる「そり」、といった節句人形にも繋がる「和」のデザインモチーフを外皮として織り込むことで「天候」「時間」「角度」によって、見る人々が変化する多様な「表情」を感じ取ってもらいたいと思っている。
内装について、1階から3階の店舗部は、老舗であるがゆえに敷居が高く入店に躊躇することにならぬよう、陳列される華やかな「ひな人形」や「五月人形」を引き立てる背景としての、品格を持った「趣」、「明るさ」、「ゆとりある広がり」が感じられる空間となることを目指した。
創業以来のこの場所で、新たな歴史を刻み人形問屋街としての街並みに新たな「表情」を与えられる、「顔」となることに期待したい。

エントランス廻り夜景

 

1階承りカウンター

外観ディティール

ルーバーディティール

ルーバー 「和」を想起

江戸通りに面した正面には新たな「和」を想起させる外皮を計画した。「デザイン的要素」と同時に遮光による熱負荷低減などの性能を併せ持つ「環境的要素」も重視した計画としている。
アルミルーバーとアルミパネルについては菱形断面および縦横寸法を日本古来の比率である「白銀比」から導き出すとともに、江戸の「粋」や「通」を感じさせる「四十八茶百鼠」に通ずる色合いを高耐性ポリエステル樹脂粉体塗装による特殊仕上げ表現した。さらに「反り」を付けたリン酸処理による鋼材フレームで挟み込むことにより、多様に変化する「表情」をつくり出している。

1階売り場

4階常設展示室

配置図兼1階平面図

所在地

竣工 東京都台東区浅草橋1-9-14

主要用途

店舗、事務所

建築主

株式会社 吉德

設計・監理

国設計

施工

清水建設

構造規模

S造、地上7階、塔屋1階

敷地面積

607.44

建築面積

466.02㎡

延床面積

2,968.52㎡

竣工

2014年8月末

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